~部屋にいくつかあいた穴はその時のエネルギーを解放する方法がそれしかなかったことを物語る。~

 

本当は友達が欲しかった

 

普通高校一年目の5月。学校の親睦合宿で行われたのは体育でやるあの集団行動だった。

「何してんだおれ?」

そもそも進学するのが当たり前だからと思って入った高校だったけど、右向け右をしに来たわけじゃないことだけははっきりとわかった。

でもそんなこと言ったら先生にどう思われるだろう。友達からなんて言われるだろう。

考えれば考えるほどこれがあと3年続く未来に絶望した。自分に嘘ついて、周りの目を気にして生きることにいったいどんな喜びがあるんだろう。

 

そんな気持ちに気付いてしまった自分が選択したのは不登校という道だった。6月に行かなくなった学校には所属している意味も感じられなくて、9月には辞める決断をした。

あんなにストレスを抱えながら乗り越えた受験がバカみたいだ。

これから変わるぞと意気込んで通信制高校に通い始めた。先生たちは常に笑顔でみんな優しくて、ここならと思った。

でも待っていたのはほとんど変わらない現実。

高卒の資格を取るためだけの勉強。友達とどう関わっていいのかわからないって自分の悩みが改善されるような授業なんてなくて、仲間ができなかった。

横に人がいるのになぜか孤独で、寂しかった。

 

ひきこもりの始まり

 

そしていよいよ本格的な引きこもりが始まる。1日家にいるのはただただ退屈だった。何かしたいのにどうしていいのかわからないもどかしさで部屋を壊した。それは自分に対する失望と親に対する原因もよくわからない怒りの表れだった。

何か変わるかもしれないと転々と環境を変えてみてもそこにあるのは希望のかけらもない真っ暗な日々。刺激が欲しくても何をしていいのかわからない、どこに行ったらいいのか知らない。YouTubeも本もゲームもただの退屈しのぎ。

いっそのこと死んでしまうことが自分に1番素直でいられる方法なんじゃないかと思った。

 

 

絶望が希望に変わった日

 

そんな絶望が希望に変わった日があった。
それはおばの紹介で行ったクライドナイン・エデュケーション。そこにいた代表のアッコの言葉に何かが崩れていく感覚を覚えた。

「高校なんて行かなくていいよ!くそやけんww!」

なんだそれ。この人本当にそう思ってる笑
誰にも素直に言えなかった思いを代わりに吐き出してもらえた気がして重く重くのしかかっていたものがガラガラっと落ちていった。

なんとも楽しそうに心通わせる人たちを前に驚きを隠せなかった。
同時に切望した。
「自分もこんな風に人と関わってみたい」
あんなに人と関わることを恐れてきた自分のなかに、人と関わってみたいって希望が湧いていた。

その日を境に
「絶望」は「希望」に、
「死にたい」は「生きたい」に
変わった。

まるでオセロのようにパタパタと世界が変わっていくのは本当に痛快で、こんな自分からワクワクした気持ちが湧いてくることが嬉しくてたまらなかった。

 

これからつくりたいもの

 

仲間も、強い自分も、人と関わる力も全部作っていきたい。

その先に見えるものは、
「安心して思考も気持ちもさらけ出せる社会」

もう人の目を過剰に気にするのも、絶望に打ちひしがれてるのもしたくない。どこにいたっていつもの自分で、あるがままに安心していられる社会を作りたい。

その第一歩になるのは間違い無く今日の自分の行動だって今なら少しわかる。

楽しみと恐れでまだまだ不安定だけど、一歩ずつ前に進んでいきたい。

 

 

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山田が彼と出会ったのは旅から帰って福岡に初めて訪れた時のこと。

その時は不登校だったことはよく知らなかった。

 

静岡で小学校の教員だった僕がクラウドナイン・エデュケーションで働くようになってからよく会うようになった。一緒にイベントに行ったりカフェで話したりした。

この文章はその時に聞いた彼のこれまでの人生の一部だ。

 

僕は、彼に出会って自分の不登校のイメージが変わった。

 

今思うとほんとクソだなって思うけれど、それまではなんで学校来ないんだよ、弱いなぁみたいに思っていた。

 

でも本当にピュアでまっすぐなんだって気づいた。

行かないって選択するのだって怖いし、退学することだってすごく勇気いるよね。

自分の気持ちに嘘つかずにいた結果なだけだって思ったら、「その人たちかっけー」とまで思うようになった。

 

今まで彼のしてきた経験もこれからする経験もただただ出会っていく誰かの希望でしかないね、って話していたら彼もとても嬉しそうだったけど、僕もとても嬉しかった。

 

そうやって希望を誰かと紡いで広めていくことって本当に幸せな仕事だなと思う。

 

これからめっちゃ楽しみやな!はるか!